1回表、一死から2番・白柿が村田の初球を鮮やかにセンター前へ弾き返し出塁 その後、一死一三塁から4番・岩崎が見事にタタキを決めパティエンスが先制 先発・高谷は効果的に変化球を使う素晴らしいピッチングでBRONZE重量打線を最後まで苦しめた 準決勝第1試合を勝ち上がった九州代表・パティエンスと、同第2試合を勝ち上がった前回優勝の中部代表・BRONZEの2015日本一を懸けたシーズン最後の闘い。 まずマウンドに上がったBRONZEのエース・村田に対し、パティエンスは2番・白柿の中前安打などで一死一三塁とし、4番・岩崎の内野ゴロの間にランナー一人が生還。前回優勝投手から忽ち1点を先制する。 一方のパティエンス先発・高谷は、初回、2回とBRONZEの重量打線を連続三者凡退に抑える圧巻のピッチングを披露するも、負けられないBRONZEは3回に9番・平井の左前ヒットなどで二死一二塁とすると、2番・末澤の二ゴロがエラーを誘う間に二塁走者が生還し、意地で試合を振り出しに戻す。 この日の村田は連続安打や連続四死球を許すなど、度々得点圏に走者を背負う苦しいピッチングを強いられるも、何とか7回を1失点で凌ぐ。対する高谷は、BRONZE打戦を僅か2安打に抑える素晴らしいピッチングで、最終回も簡単に二死に打ち取っていよいよ延長サドンデスに突入かと思われたが、9番・平井に死球を与え、二盗を許すと、ここで1番・松本が右中間を破るタイムリーを放ち、サヨナラ決着。 むしろ終始押され気味に見えたBRONZEだったが、昨年に続く2年連続サヨナラ勝ちで決勝戦に劇的勝利し、前人未踏の全国大会二連覇を達成した。 BRONZE先発・村田は初回に1点を失うなど、この日は我慢のピッチング 3回裏、二死一二塁から2番・末澤の内野ゴロが相手のエラーを誘い同点に追い着く 7回裏、二死二塁から1番・渡辺がサヨナラタイムリーを放ち劇的決着 同点で迎えた7回裏二死走者なし。会場中の皆が延長戦突入を疑わなかった。 その僅か1分後に事態が急転するとは、一体誰が予想出来ただろうか。 この局面で、8番・平井が死球で出塁、すぐに果敢に二盗を決める。二塁へ気迫のヘッドスライディング。後に今井監督はこのプレーを高く評価し、平井を「影のヒーロー」と称えることになるが、その平井が直後に今度はホームへまたも頭から滑り込む。息を呑むクロスプレーだったが、平井は審判のジャッジを待つことなく生還を確信、雄叫びを上げると、あとはまるで昨年の再現VTRを見るかのような、BRONZEナインの歓喜の 輪が出来た。 「必ずサヨナラで決めようと思っていた」と打った松本。「あそこは絶対打ってくれると思っていた」と力投の村田。前言撤回。つまり、少なくともこの二人の頭には延長戦は無かったことになる。 見事な一撃。鳥肌が立った。一振りで大きく事態を変えた松本。その場面を「興奮し過ぎて覚えていない」とはにかんだ若きスラッガーが、2015全国MVPとして歴史に名を刻んだ。 序盤は明らかにカーブが効いていた。 しかし「3回から相手がカーブを狙っていた」として、すぐにピッチングを切り替えるクレバーさが、この日の彼の好投を最後まで支える。 しかし、最後の最後に待ち受けていたのは非情なる結末。「最後の一球に悔いが残る」と高谷は無念を隠さず、鋭い眼光で「来年も絶対全国大会に出て、次は必ず日本一になる」と悲願必達を自らに課した。 見るからに未だ若い右腕にはあまりに厳しい結末で、無念を露わにする気持ちも良く分かるが、連覇を狙う王者の強力打線を最後まで苦しめたピッチングには、むしろ胸を張るべきである。 「あれだけの好打者がいる中、本当によく投げてくれた」と高谷への労いの言葉を惜しまなかった沖監督。人間味溢れる穏やかな監督の元、高谷はさらなる成長を遂げて必ずやこの舞台に戻って来るであろう。 [ GBN DOME FINAL トップへ ]
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